8 各論3:体温(消化器系):小腸・大腸(1)小腸(2:麻痺性イレウス1)
メトクロプラミドの続き、併用注意を確認です。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00066550
抗コリン薬、ジギタリス製剤、抗ドパミン薬は併用注意。
抗コリンの「コリン」はアセチルコリン…でしたね。
アセチルコリンは副交感神経系で、
最初から最後まで使う神経伝達物質。
メトクロプラミドで交感神経系を邪魔しつつ、
抗コリン薬で副交感神経系を邪魔していたら…。
交感神経系と副交感神経系、
どちら優位になっていいか分かりません。
これでは「薬が効かない!(効きが悪い!)」
なんてことになってしまいます。
ジギタリス製剤は強い強心薬ですが、
中毒が怖かったですね。
中毒のサインに悪心・嘔吐・食欲不振がありますが、
メトクロプラミドの制吐作用のせいで、
これらが出にくくなってしまいます。
危険な中毒に気付くのが遅れるおそれがある…
だから併用時に要注意なのです。
そして同じ働きの抗ドパミン薬。
これはドーパミンを邪魔する働きが強く出すぎてしまいます。
無月経・乳汁分泌・女性型乳房といった内分泌異常や、
焦燥感・筋硬直・手指振戦といった
錐体外路症状が出てくるおそれが。
内分泌異常の中身を見ると…
下垂体前葉のプロラクチン分泌亢進症状ですね。
下垂体から出るプロラクチンは、
視床下部からのコントロールを受けます。
生理学の内分泌のところでは放出因子(PRF)と
抑制因子(PIF)があることを紹介してあります。
実は、視床下部からはドーパミンも出ていて、
ドーパミンはプロラクチンを抑制する働きがあるのです。
メトクロプラミドでドーパミンが抑制されて…
プロラクチンが産生亢進モードに入ってしまったのですね。
「錐体外路症状」という言葉は、
精神分野ではしばしば出てきます。
詳しくはもう少し先でおはなししますが…
ポイントだけ先に説明しますよ。
「錐体路」というのは、
意識的な命令が脳から筋肉に届くときに通るルート。
「錐体『外』路」ですから、
意識的ではない
(イコール自分ではコントロールできない)動き(働き)が、
錐体外路症状です。
次回は、メトクロプラミドの慎重投与と
重大副作用のおはなしですよ。
【今回の内容が関係するところ】(以下20230318更新)