試し読みページ

https://5948chiri.com/readtrial/

9 各論4:体温(内分泌系):副腎・性腺(5)

2023年4月4日

「ピル」は、低用量経口避妊薬(OC)を指す言葉です。

一例として、

レボノルゲストレル・エチニルエストラジオール

(トリキュラー)を紹介しますね。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00046302

卵胞ホルモンと黄体ホルモンの入った錠剤で、

これを飲むと下垂体の性腺刺激ホルモン(FSHとLH)に

負のフィードバックがかかります。

「…ちゃんと卵胞ホルモンも黄体ホルモンも出てるねー。

別に、命令しなくてもよさそうだねー」というイメージです。

 

黄体形成ホルモン(LH)が出なくなるので、

LHサージは起こりません。

LHサージがないということは…

卵胞から卵子が飛び出す「排卵」が起こりません。

卵子がない以上、受精しませんし、妊娠しません。

ちゃんと飲めば99%以上の避妊可能なのは、

このためです。

そして卵胞ホルモンと黄体ホルモンの体内量も

一定化するので、月経困難症緩和にも使われる薬です。

 

ただし、禁忌はそれなりにありますよ。

卵胞ホルモンが入りますから、

エストロゲン反応性の悪性腫瘍があったらだめですね。

代謝(M)が悪くなっている肝障害も禁忌。

妊娠・妊娠可能性のある人、授乳中の人もダメですね。

妊娠中の安全性は確立されていませんし、

乳汁は量や質の変化に加えて、

児に黄疸と乳房腫大が出たと報告されています。

骨の成長途中もダメですし、

「血栓」の危険が高いときにも禁忌になります。

 

「血栓」を作りやすい例として、

血管病変のある糖尿病をはじめ、

片頭痛や心臓弁膜症、産後や手術前後、長期安静、

脂質代謝異常、喫煙と並んでいます。

多くは「(主に)脈・血圧」のところで、

血管内皮細胞のおはなしとして理解してきたものですね。

注目は喫煙。

タバコの害は呼吸器系だけと誤解している人がいますが。

血管系にも大影響ですよ。

後は禁忌のところにHCV(肝炎ウイルスC型)の薬

(オムビタスビル水和物・パリタプレビル水和物・

リトナビル配合剤)使用中と、

耳小骨のアブミ骨が硬くくっついて聞こえが悪くなった

耳硬化症があることも確認しておいてください。

 

これら禁忌にあたらないなら、

普段から避妊信頼性の高い低用量経口避妊薬を使いたいところ。

でも、各種の理由で間に合わないこともあります。

次回はそんなときのための「アフターピル」のおはなしです。

【今回の内容が関係するところ】(以下20230404更新)