9 各論4:体温(内分泌系):副腎・性腺(5)
「ピル」は、低用量経口避妊薬(OC)を指す言葉です。
一例として、
レボノルゲストレル・エチニルエストラジオール
(トリキュラー)を紹介しますね。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00046302
卵胞ホルモンと黄体ホルモンの入った錠剤で、
これを飲むと下垂体の性腺刺激ホルモン(FSHとLH)に
負のフィードバックがかかります。
「…ちゃんと卵胞ホルモンも黄体ホルモンも出てるねー。
別に、命令しなくてもよさそうだねー」というイメージです。
黄体形成ホルモン(LH)が出なくなるので、
LHサージは起こりません。
LHサージがないということは…
卵胞から卵子が飛び出す「排卵」が起こりません。
卵子がない以上、受精しませんし、妊娠しません。
ちゃんと飲めば99%以上の避妊可能なのは、
このためです。
そして卵胞ホルモンと黄体ホルモンの体内量も
一定化するので、月経困難症緩和にも使われる薬です。
ただし、禁忌はそれなりにありますよ。
卵胞ホルモンが入りますから、
エストロゲン反応性の悪性腫瘍があったらだめですね。
代謝(M)が悪くなっている肝障害も禁忌。
妊娠・妊娠可能性のある人、授乳中の人もダメですね。
妊娠中の安全性は確立されていませんし、
乳汁は量や質の変化に加えて、
児に黄疸と乳房腫大が出たと報告されています。
骨の成長途中もダメですし、
「血栓」の危険が高いときにも禁忌になります。
「血栓」を作りやすい例として、
血管病変のある糖尿病をはじめ、
片頭痛や心臓弁膜症、産後や手術前後、長期安静、
脂質代謝異常、喫煙と並んでいます。
多くは「(主に)脈・血圧」のところで、
血管内皮細胞のおはなしとして理解してきたものですね。
注目は喫煙。
タバコの害は呼吸器系だけと誤解している人がいますが。
血管系にも大影響ですよ。
後は禁忌のところにHCV(肝炎ウイルスC型)の薬
(オムビタスビル水和物・パリタプレビル水和物・
リトナビル配合剤)使用中と、
耳小骨のアブミ骨が硬くくっついて聞こえが悪くなった
耳硬化症があることも確認しておいてください。
5 脳神経系と内分泌系のおはなし(5)
聴覚(聞く)のおはなしです。 普段見える耳は、「外耳」といって音を集める役目。 顔の外側に ...
https://5948chiri.com/anat-5-5/
これら禁忌にあたらないなら、
普段から避妊信頼性の高い低用量経口避妊薬を使いたいところ。
でも、各種の理由で間に合わないこともあります。
次回はそんなときのための「アフターピル」のおはなしです。
【今回の内容が関係するところ】(以下20230404更新)