6 各論1:脈・血圧(心臓):心筋梗塞・狭心症(1)抗血栓薬(3)
ワーファリンとヘパリンは、
どちらも「抗凝固薬」とまとめられることがありますね。
でも、実際に働いているところは違いましたよ。
思い出せない人は、ちゃんと確認しておきましょうね。
ヘパリンは各種血栓・塞栓の予防・治療だけではなく
播種性血管内凝固症候群(DIC)の治療にも使います。
他にも各種検査や体外循環装置を使うとき
(人工透析や人工心肺等)にも出てくる便利屋さん。
便利なのですが…結構禁忌は多いですよ。
出血中や出血傾向のある人にとって
禁忌になることはいいですね。
「血管に傷がついて出血した!
ヘパリンのせいでフィブリンが作れない!
血が止まらない!」では
血液がその役目を果たせません。
その先の細胞が酸素・栄養分不足になってしまいますね。
血液凝固障害も原則は禁忌ですが、
播種性血管内凝固症候群(DIC)は別。
播種性血管内凝固症候群の
「血栓だらけなのに血が止まらない!」理由は、
ちゃんと理解できていますか?
まだの人は、生化学の血小板のところを復習ですよ!
あとは、頭部や脊髄周囲の外傷や手術の後が禁忌なことも、
もうイメージできますよね。
忘れてはいけないのが、月経期間中。
たらたらと月経様の出血が続くと、
貧血の恐れがあります。
薬過敏症(薬アレルギー)の
主にⅠ型が出る可能性があるので、
重い肝臓・腎臓障害のある人も禁忌ですね。
ワーファリンも各種血栓症・塞栓症の予防や治療に使われ、
禁忌もほぼ重なります。
でも、ワーファリンには
相互作用を起こすものがたくさんありましたね。
吸収では高脂血症の薬クエストランで、
ワーファリンの吸収が低下しました。
分布では痛風治療薬アンツーランにアルブミンから追い出され、
ワーファリンの血中濃度は高くなりがち。
いざ働くときにはビタミンKと酵素の奪い合い
(拮抗阻害)になっていました。
ここでビタミンK(を多く含む食品)をたくさんとっては、
薬の効果が弱まってしまいます。
心筋梗塞になって、食事に気を遣うこと自体はいいことですが。
残念ながら食事のバランスを良くする納豆や緑黄色野菜には
ビタミンKがたくさん含まれています。
「納豆と青汁、クロレラは
ワーファリン中は併用注意」になる理由です。
さらに代謝では抗結核薬のリファンピシンや
催眠鎮静薬のフェノバルビタールが酵素を増やすせいで、
ワーファリンの分解が早まって血中濃度が低くなりがち。
さらに胎盤通過で催奇形性まである困りものです。
…ワーファリンで、総論のかなりの部分を復習できましたね。
だから、看護師国家試験にワーファリンはよく出てきます。
絶対に外してはいけないのはビタミンKとの関係
(食事禁忌を含む)。
そして血液凝固のどこに効くから治療に役立つのかも、
説明できるようにしておきましょうね。
【今回の内容が関係するところ】(以下20221214更新)